Gadget1に行ってきました。感想をひとことで述べると、「これは奇跡のイベントだった」。
物理層から、アプリケーション層まで。
ビジネスから、ホビーまで。
個人から、大企業まで。
マネージャから、エンジニアまで。
インフラから、端末まで。
スタイリッシュから、アレゲまで。
企画から、実装まで。
マイコン黎明期から、iPad & Nexus One まで。
なんかもうレイヤとか社会的立場とか世代とか業界とか組織の規模とか、全部どーでもいいじゃんって感じで、全員集合しちゃった。Gadget っていうキーワードでとりあえず集合したら凄いことになっちゃった。
午前中は iPhone & Android のモバイルアプリから始まって、午後になるとだんだんハード関係のネタが登場して一気にディープな方向へ。全レイヤーを網羅したあと、怒濤の Lightning Talk、という流れでした。
トップバッターは、AR お絵描きツール「Feel Sketch」の作者、塚田さんのトーク。iPhone で音声認識技術を使って便利なものを作る話です。オープンソースな音声認識エンジン Julius を使った検索アプリケーションを紹介。最初は「端末が音声ファイルを投げ、サーバで Julius を動かして検索結果を返す」という方式をとっていたけれど、その後で iPhone 上で Julius が動くようになったとか。さらに、AR お絵描きツールのおもしろい話。お手軽にお絵描きし、マーカーを生成、それを印刷して現実世界にオーバーレイするというもの。
(資料: http://www.slideshare.net/gabuchan/arfeel-sketch-at-gadget1)
午前の部の後半は、ソーシャルアプリ方面で活躍中の@conit さん。現在のソーシャルアプリケーションのユーザ層は、モンハンやポケモンを受け入れ、日頃の遊びの中でも友人との「交換」「協力」「対戦」を大切にする人たち。従来のように派手に金をかけてプロモーションをすれば売れるってものでもなく、人と人を繋ぎながら広まって行くというのが、ソーシャルアプリの特徴です。課金も、アプリそのものでお金を取るというより、「友達を誘って最初は無料で遊べて、ハマって白熱した頃に『友達よりちょっと強くなりたい』という気持ちで課金アイテムを買う」という形をとることが多い。実例として登場したのが、「食」でつながるEatNow。お店で食べたものも自炊したものもとりあえず晒して共有。友達同士でつながるだけでなく、世界の「食」の姿が見えてくる楽しいソーシャルアプリでした。
// ここでお昼休みになったわけですが、EatNow は「蟹漁師の家」の蟹チャーハンと蟹玉の画像で占拠されました;-)
午後の部。最近熱い Nexus One について語ってくれたのは、Google API Expert のてんてす氏(本業は弾幕シューティング方面らしいよ)。CPU も RAM も従来の Android 端末のだいたい2倍になった Nexus One の実機で500個のスプライトの弾幕をヌルヌルと滑らかに表示してスゲースゲー。その後会場では Nexus One の実機が回覧されました……。
次の30分は、撮った写真を Web に自動で公開してくれるデジカメ CEREVO CAM がどうやって生まれたかという、ベンチャーハードウェアの物語。家電メーカーが汲めなかった「ネット時代のハードウェア」像を描き、実現していく。様々な方面の精鋭を集めた少人数のベンチャーが企画し、Web インターフェイスを作りながら、基板作りやガワのデザインはアウトソーシングし、同時にベンチャーキャピタルにプレゼンをして出資を募り、最終的に製品を世に出すまでの話でした。ちっちゃい組織だからこそ作れた、とんがったガジェットです。
その次は、ガジェットを支えるインフラの中の人のお話。イーモバイルの矢萩さんのプレゼンです。まず最初に、イーモバイルというインフラを使って、どんな場所でも簡単に WiFi 接続を実現できる Pocket WiFi を紹介。そして、「どこでも繋がる」を実現するためのインフラ整備の裏話(表話?)です。利用者の多いところから順々にカバーしていくように基地局を配置(このへん撮影禁止)。イーモバイルの中の人達は、アンテナひとつ立てるにも、巣を作って近隣にウンコをまき散らす図々しい鳥類や、無駄にモジャモジャと絡んでくる植物と戦ってます。ちなみに「趣味は車載電測」とのこと。
こうしてだんだん低レイヤーの話になってきたところ、プロの回路屋さんでなおかつニコニコ技術部で活躍中のぱお氏のプレゼン。「オシロスコープではちゅねミクにネギを振らせる」という技術力の無駄遣いを紹介しながら、自作ガジェットの基礎の基礎として必ず通らなければいけないアナログフロントエンドについて解説して下さいました。このあたりは、「ハードに興味があってとりあえず Arduino は触ったけど」で止まっているアマチュアが超えないといけない壁です。(自分もそろそろ真面目に勉強するか……。) ニコニコ技術部や Make: など、geek なコミュニティはどんどん活発になってきている模様です。
こうして、ビジネスライクな話から、同人レベルで楽しく hack しようという流れになってきました。そこで登場したのが「秋月パルス」「秋月ドランク」で有名な koress.jp。個人でできる規模の hack でも、アイディアと見せ方次第で、どんどんネットガジェットの未来を提案できる。だから、アイディアをどんどん実装して世界に発信しよう! という勇気あるメッセージでした。
次は、暇村さんのプレゼンテーション。またまたハード系です。「オープンなハードウェア」は、実は昔からありました。雑誌で公開された回路を皆が組んでみたりしていたわけです。さらに暇村さんは、ソフトウェア系の人も交えてオフ会で回路を組んだりというコミュニティ活動をしてきた。そして最近は、ソフトの人もハードの人もガジェットをさくっと作れるオープンなプラットフォーム "EMMA Mobile 1" を提案。ハードウェアの難しいところはすでに出来上がっているから、あとは組み合わせで面白いことをやろうぜ! という具合です。
そして最後は怒濤の Lightning Talk の時間です。舞台横には、手作り LT カウントダウンマシンが設置され、時間切れになるとやかましい音が鳴ります……。
会場の提供は日本 Oracle さん。今までも、青山の綺麗なビル、はるか丹沢と富士山を望む13階。技術者たちが新しい製品に触れたり、交流を深めたりする場として、各種勉強会に会場を提供してこられたそうです。
Gadget1 は奇跡のイベントでした。レイヤを超えて、立場を超えて、熱くなった祭典でした。